長いですよ〜

え〜と、どこぞのニュースでもやっていましたが、内閣府の調査によると、76.7%の人が少子化に対して危機感をもっているということが判りました、ということですが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041007-00000524-jij-soci


え〜と、政府調査機関の「調査」は、大概が最初に欲しい結論を想定しておきその通りの結果を導き出せるような手段・設問で行われますので、この「76.7%」という数値に本当は意味など全くなく、結果を詳細に見て始めてその真意が見えてくる訳ですが。

そんな訳で、設問と回答をまとめた資料が以下のページにあるので入手しましょう。

http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h16-syousika.pdf



まずは、上の方は一気にすっとばして、5ページ、この調査で用意された設問をチェックしてみましょう。

  • Q1. (略)貴方はこうした低い出生率が続くことについて、わが国の将来に危機感を感じていますか?

この「危機感」ってのは具体的にどういう状況を指すのか全く書いてないのが凄いですが、こう書いておけば、大抵の人間は「そういえばマスコミで散々少子化で税収やら年金が減ると騒がれていたなぁ」などと「思い出す」でしょうね。
「危機感」と聞かれて、人口が減ることで使用する電気や車(ガソリン)が減り自然環境が良くなる、とか、通勤ラッシュ・帰省ラッシュが緩和されて移動がスムーズになる、とか、食糧の消費が減り自給率が改善する、などのメリットを連想するようなイマジネーションを持っている人はそう多くないと思われるので、この設問は当然「危機感を感じている」にチェックをする人の割合が大きくなるのが当然ですな。

  • Q2. (略)欧米諸国では最近では出生率の低下に歯止めがかかっている例も見られるなかで、日本の出生率は欧米諸国と比べると比較的低い数値となっていますが、このことについてどう考えますか?

出ました、お得意の映像マジックこと折れ線グラフです。
そんな訳で、早速、8ページ目の主要先進国における出生率のグラフをみてみましょう。

グラフの右端、最新の数値だけを比較してみると、確かに、日本に比べアメリカやフランスは出生率が高く、また、(政府が大好きな)スエーデンはここ数年で出生率が上向いている様に見えますね。

しかし、このグラフは丁度ココで切れているから「たまたま」そう見えるんだということを忘れちゃいけません。
例えば、ドイツは1985〜1990にかけて出生率が上昇している様に見えますが、結局のそのあとは減少し続けているじゃないですが。
他の国も、末端だけ見れば多少改善されたように見えますが、結局全体では右肩下がりに凋落している傾向は変わらない訳で、その傾きもどの国も似たりよったりで大して変わらないのですが、こんなのを「欧米は出生率低下に歯止めがかかっているが、日本は未だに歯止めがかかってない」などと表現するのは笑止千万です。
#特に、このグラフはY軸を拡大しすぎて、年ごとの出生数がちょっと変わるととガクっと傾きが変わって見える非常にトリッキーなものになっているんですが‥‥
#改善されたと言われるイタリアだって、3年で0.05。そのくらいの増加は日本にだって何度もありますよ。

ちなみに、ヨーロッパを中心とした先進国の特殊出生率はどの国でも下がりつづけており、主要先進国の中で比較すると、日本の1.29ってのは実は意外と高い数値なのですよ。(主要先進国 20ヶ国で見ると15位くらい)
北欧の先進国には1.1とか1.01とか0.9などという国も平気でありますから。


そんな訳で、明日に続く〜。